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話数単位で選ぶ 2015年TVアニメ10選

アニメ

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(今年のアニメを)思い…出した! 綴るッ!

ルールは以下の通り。
・2015年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。

ネタバレ満載でお送りします。あしからず。


■聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 第12話「二つの生を越え-Beyond the time-」

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「みんな、ありがとう!」

OPフェードアウトから始まる圧倒的最終回。どんな代物が出てこようとも絶対受けきってみせる! と構えていたおれの感受性は開幕1分で床ごと抜けて落ちていった。
かつて自身が転生した事実に怯えていたマーヤが自らの意志で(アニオリ設定だが)「再び綴る」さま、サツキと静乃が絶望に囚われた諸葉を救うべく「思い出す」姿、ウィーアーザセイヴァーズ! からの挿入歌『キラリア』。自ずと心身が熱くなるような燃えるドラマが仲間達全員の行動を通して描かれる。「思い…出した!」の天丼とその変奏も健在だ。

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全体的に演出が光る回だが、特に3度目の生たる現世で、またも大切な人達を奪われた諸葉の怒り・絶望の表現は凄まじい。石川界人の熱演と主線ギザギザが目を引く秀逸きわまる演出である。パンドラの箱から最後にとんでもないものが飛び出してきた(毎回とんでもなかったが)。
クソ要素と王道展開を類稀なレベルで両立させた、問答無用の神回といえよう。
あとスーパー諸葉さんのデザインはガチでカッコいい。
しかし二期はまだか……おれはいつまでフランス支部長のシャルルを警戒し続けなければならないんだ……


■えとたま 第5話「滋羊強壮」
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「やっぱりオンエアでは無理にゃが円盤では光がとれてすっぽんぽん!」
「同じセルに描きこんでいるので取れませんデスデス」

看病回→水着回→温泉回→……どう考えてもやり過ぎである。
全キャラ総動員で送る超高密度のAパート。過剰も過剰な情報量、洪水めいたギャグの奔流に思考を丸ごと洗い流される。おもちゃ箱をひっくり返したかのような破滅的カオスは目にも耳にもやかましいことこの上ない。りえしょんのツッコミも普段以上にキレッキレである。
画面の四方八方から矢継ぎ早に飛び出す暴走干支神の突っ切ったボケに次々ツッコんで対処する様相はワニワニパニックにも似ている。

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どいつもこいつも愉快に壊れているがもっともぶっちぎれているのはやはりモ~たん。規制の光を脱ごうとするキチガイアニメキャラが登場するのもこの作品くらいだ。まぶしい。
『えとたま』は60fpsと推定されるプリティモードのCGアニメーション、視聴者の反応をシミュレートしたかのような脚本の面でも大変素晴らしい作品だが、ギャグの勢いにおいてはこの5話が私的ナンバーワンであった。自称日本一うるさいアニメの面目躍如といえる回だろう。
Bパートは救い。メイたん可愛すぎるんだよな……はぁ……


■SHOWBYROCK!! 第6話「DOKIィッ!? 水着だらけの海合宿♡ですぞ♪」

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「夜空に輝く夢の流星を 同じ場所で見つめていたいね どんなに離れていても心が いつかはひとつになれば」

折り返し回。5話において決裂したプラズマジカは冒頭で仲良くビーチバレーを楽しんでいる。前もって不和が解消されたことを示す、ダウナー展開苦手な視聴者にも安心のストレスフリー設計。やったね! 過程に興味を惹きつけるミステリライクな構成も妙。
音楽が本当に大好きだからこそ、その場ではすぐに許せないチュチュ。シアンに似た事情を抱える後ろめたさから真っ先に許してしまうモア。そして浴場でシアンに言葉を伝えられた時点で本当は許したかった、けれども耐えられなかったレトリー(何せ彼女にとってはライブが台無しになった事実よりも、シアンと離れる未来の方が重く、悲しいくらいなのだ)。4人の繊細な心のうつろいが微妙な間や表情、台詞回しをもって描かれる。画作りは元よりBGM、SEひとつとっても叙情的な使い方がなされており、いちいち胸にクるものがある……合間のシンガンのハイテンションが肩の力を抜いてくるのも巧い。

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最高に過ぎたコテージのシーン。2話において『青春はNon-Stop!』で3人を魅了したシアンの歌声が、今ひとたび彼女らを結ぶ。シンプルかつ強度の高い反復構造。言葉だけでは越えられない壁でも音楽なら飛び越えていける、それを証明する一幕だ。
今この瞬間の、有限の青春を目いっぱい楽しむということ。
離れても、つながれた事実は消えないということ。
輝ける時そのものを奏でているのが『流星ドリームライン』であり、プラズマジカのすべての曲である。みんな、最高ぴゅる~~~~!


放課後のプレアデス 第7話「タカラモノフタツ 或いはイチゴノカオリ」

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「すばるに助けられてばかりじゃいられないからな」
「私だって! あ、でも、あおいちゃんと一緒にいるのはずっと好きだよ」

どういう頭の構造していたらこんな会話劇が書けるんだろう……。
本作独自のSF設定が織り成す、けれど普遍的なすれ違い。互いの感情を凝縮した一連のやりとり。伸ばした手を引っ込めるあおい。おれの精神は一瞬にして崩壊した。


Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 第20話「Unlimited Blade Works.」

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「ヤツの言い分は殆どが正しかったけれど、どうも、何かを忘れていると思った」

最高速度で駆け抜けたUBWクライマックス。スタイリッシュアディダスパージ! 俺たちの士郎さんが帰ってきた!!
これまでの鬱積を晴らさんばかりのむせ返るようなきのこ節、意図的に間のカットを崩すことで加速される戦闘アニメーション。挿し挟まれる魔術回路のカットインが単調になりかねないチャンバラアクションの緩急となっている。常に足裏で地面を捉え、剣に体重を乗せているアーチャーに対し、士郎の地に足がついてない感じといったらない。ヘタしたら片足浮いている瞬間の方が多いのでは……力量差を雄弁に知らしめる剣戟。至高のBGM『エミヤ』アレンジの使い方がちょっと軽すぎないかと思ったけどこれは後のさよならジューダスを考慮してのことだろう。

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剣の丘に立つ3人は全員が正しくイカれており、アーチャーの言葉は彼ら全員の欺瞞を切開する。
自身の生き方ーーー物語と言い換えてもいいーーーを殺された人間が、その上でどう生きていくか。そのひとつの回答が本作では示されている。
アーチャーの言葉は、論理的な意味ではひとつとして否定されていないのだ。ただ「正しいだけだ」と切り捨てられる。
辿り着く終着まで見据えて、心は欠けてしまいそうで、それでも胸の焔は消えず、選定の剣は引き抜かれる。ここでPC版OPと重ねてくるのはずるい……おれの精神は10年前まで退行し、気付いた時にはPCにS/Nがインストールされていた。Dust to Dust, Ash to Ash. 。彼方へ。Fateは文学(文学ってなんだ)。


■響け!ユーフォニアム 第11話「おかえりオーディション」

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「先輩は、トランペットが上手なんですね」
「上手じゃなくて、好きなの」

音楽や人間関係を通して『響け!』では様々な敗者が描かれてきた。この終盤においてまたふたり、何の罪もない素敵な少女たちが大きな敗北を迎える。
先輩のポジションを後輩が奪っていいか。部活ものの多くで避けられないテーマのひとつだが、この作品はその過程が非常に丁寧。
今までの話を経て、視聴者は香織と麗奈、両者の物語に肩入れしてしまっている(この、肩入れさせる過程もとんでもなく巧いわけだが)。この時点でドラマ作りはもう成功しているといっても良いのだ。

優子と久美子が彼女らの間を行き来し、部長やあすかが各々の立ち位置から香織へのアプローチを試みる中、否応なくオーディションの日は訪れる。

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端正でありどこか素朴な、耳になじむ香織の旋律。
吹き抜ける夏の風のような、凛と響く麗奈の旋律。
素人の耳にもはっきりわかってしまう差……というか違い。恐ろしく説得力の高い表現。
久美子や優子が「どちらの物語を応援するか」を基準に拍手してしまうのも(久美子は単純に演奏を比較できた部分もあるだろうが)、部員たちが演奏の力と好きな物語=香織の境遇を天秤にかけ、拍手ができなくなってしまうのも仕方のないことだろう。
であれば、物語の主人公ーー香織か麗奈のいずれかが自ら幕を引く他ない。こういう時、きっちり片方を殺してくれる力の論理(この場合は演奏力の差)ってのは本当に優しいものだと思う。
香織が自らに引導を渡すための手助けとなったのは滝先生の問いかけだ。慈悲深いという他ない。「吹かないです」と答える一瞬、照明を反射して涙のようにきらめくトランペットも印象的に映る。香織が先生に問われた瞬間の麗奈の苦しげな表情も……。

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遠く憧れた青春、己が夢を託した香織の物語が敗れたのを目撃して、優子の号泣は止まらない。
無様でも、みっともなくても、香織の物語がまだ閉ざされてしまわないようにと必死になってあがき続けた、そんな「優子の物語」を知っているから、視聴者も(というか私も)涙せずにはいられない。香織の物語の敗北≒優子の物語の敗北なのだ。
優子はこれからもずっと、香織の物語を胸に抱いて前へと進んでいくのだろう。けれど、彼女自身の新しい物語は、せめて最後まで続くように。そう願わずにはいられなかった。


レーカン! 第12話「みんな、つながっているんです。」

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「でももし不安に思ったそんなときは、手を伸ばしてください。そうすれば、きっと」

ワンクールを通して徹頭徹尾「人と人とのつながり」を描いてきた『レーカン!』。天海響という少女がつなげてきたいくつもの縁が、今度は響自身に向けて収束、結実するのがこの第12話だ。
霊感を失い、霊が視えなくなった響。周囲からは霊の気配さえ消えてしまう。侍にコギャル、エロ猫に人魂と終始賑やかだった画面は一転空虚な面持ちを見せる。曇天の昼特有の薄暗い空間に蝉の声が静かに響く。環境音のみの間の置き方が絶妙。
今まで視えていたからこそ、視えないものなど信じられない。響にとってつながりは視えて当然のものであり、極端に言い換えれば「(霊感によって)視えるという事実」こそが、彼女にとってのつながりだったのだ。

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「色々なところで、たくさんつながっているんですね。明日も、つながっていくんですね」
第3話での響の言葉はこちらとしても頷く他ない圧倒的な説得力の祈りだが、これは「霊感を持つ天海響」の言葉だ。響自身が霊感≒つながりを失ったと思い込んでしまった以上、信じ続けられるわけがない。

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井上が差し出す卵焼き。3話のリフレイン。
井上の祖母の味が響を通して井上へと伝わり、勇希と父、そして生まれてきた妹をつなげたように。
響の母の味が響を通して井上へと伝わり、今度は響自身に帰ってくる。
遺された卵焼きの味は亡き人が居た証であり、その美味しさは今生きている人にも届く。生の証跡たる食事は、在りし日と今をつなぐ橋渡しとなる。9話ではより直接的に描かれたポイントでもある。
1話のお供え、8話のままごともそうだが、本作において食事に宿る意味合いは大きい。食と生は不可分なのだから。
「私、食べられないって、そう思って。私だけがこんなことって。なのに、美味しい。美味しいです」
霊は視えない。母も視えない。けれども、卵焼きの味は遺されている。
語らない台詞から滲み出る響の自罰めいた感情……きつい……つらい……。
井上たちと仲良くなれたのも霊感のおかげだったと吐露する響。自分の存在意義を霊感のみだと断じる響。台詞の端々から凄絶なバックボーンが垣間見えてくる。

「霊感のない私は、何もない私は、それでもつながっていける、そんな自信がなくて」

けどこんな言葉、井上でなくとも許せる道理なんかない。

勇希一家と再度会わせるべく井上は響を街へと連れ出す。道中、今までつなげてきた人々と再会し、少しだけ良い方向に変わった彼らの感謝や叱咤を受けて、響は小さな驚きを覚える。ベタな王道。しかし舌を巻くほどにハートウォーミングな展開。どこか得意げな井上がかわいらしい。
「おかげでちょっとはわかったんじゃない? あんたはーー」
自分のしてきたことを再発見する響の前に、最後に現れるのは勇希の一家。

後に井上が語るように、響が人々をつなげたのは霊感だけの力ではない。
老若男女を問わず、好意的な人から否定的な人に至るまで。いなくなってしまった人も、生まれてきた人さえもつなげたのは。

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かつて響が信じた「明日もつながっていく」ということを体現する、勇希の妹・響歌。
これまで響がつなげてきた幅広く豊かな縁が、今度は彼女に向かって伸びてくる。一人ひとりが手を差し伸べ、彼女を痛みの底から救い上げる。
響を救うきっかけになったのは井上だが、真に救ったのはつながりそのものであり、つなげてきた自分自身だ。つながりを通して人の想いは巡っている。

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今なお霊を怖がる井上が、震えながらも響の手を掴み取ったことで。
「それが許されるのなら、つながっていたいです」
それによって響は、霊感がなくてもつながれるという奇跡を、本当の意味で信じられるようになる。
「井上さんたちと。霊のみなさんと。たとえ見えなくても」

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信仰は確信に変わり、つながりへの道は開かれる。雲間から射し込む陽の光と青信号の演出が小憎らしい。まだ井上は怖がっている。可笑しい。からの「私もとっくにつながってたわけか」。とんでもない描写強度。
視えるか視えないかはすでにどうでもよくなっていて、だからこそ視えるようになるという逆説的な着地点。ウルトラC。ブラーヴォ。1000万点。おれの精神は跡形もなく爆発四散した。
「見えなくても、泣かないでください。見えなくても、悲しまないでください」
ラストの響のモノローグは本作のテーマを総括する。冒頭で取り上げたラストシーンは『ユリ熊嵐』12話「見つけたよ」、『放課後のプレアデス』12話「待っててね!」にも匹敵する最高きわまる名シーンだ。
つなげる意志、循環する想い。Key諸作品にも通じる感動と余韻を残す文句なしの傑作回だった。久弥直樹を感じる。
単発の火力なら6話・8話も相当なものだが、今回はこの12話に軍配。


■落第騎士の英雄譚<キャバルリィ> 第4話「落第騎士 IV」

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「みんなぁ! 挫けそうな黒鉄くんを応援してあげてくれぇ! それワーストワン!」
「「ワーストワン!」」
「ワーストワン!」
「「ワーストワン!」」
「ワーストワン!」
「「ワーストワン!」」
「あっほーれワーストワン! ほーらワーストワン!!」 

私的2015年ベストバウト回。
Aパートでのアリスの「強さとは我慢」という言葉は的確。一輝の過去と現在背負うもの、そのためにかかるプレッシャーが台詞と噛み合い重みを増す。心情表現が緻密で豊かなのも『キャバルリィ』の大きな魅力だ。
やりすぎな「ワーストワン!」演出からのステラが叫ぶ流れはあまりにも熱い。一輝の痛みを見抜いたアリスとの会話がここで活きてくる。
彼が再び立ち上がり、自分に喝を入れてからの3分間は圧巻の一言。「ほらどうした戦いなYO☆親切でやってるんだZE☆」「君のおめでたい脳天でも狙うかぁ、当たったらオタブツだぜぇ?」etcetcで溜まりに溜まった桐原静矢へのヘイトがこの3分で炸裂する。

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『一刀修羅』+『完全掌握』の時間。神がかった戦闘。大量のカッコいい静止画をアニメーションが成立するギリギリのバランスでつなぎ合わせたかのような、目を見張るバトルシーン。角度を活かしたカメラワークと荘厳かつ情熱的な劇伴、鬼才・松岡禎丞の煽りと悲鳴がこっちの感情も盛り上げまくる!

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「イカサマだあああああああ!」「ミリオンレイン!!」「待て! 止まれ! 止まれ止まれ!! やめてくれええええええええ!!」「そうだ! じゃんけんで決めよう!」「友達じゃない……かッ……!」
全カットカッコいい。切り替わりが早い。一瞬も目を離せない。ミリオンレイン投げ返す瞬間とかヤバイ。自然と拳を握りしめている。体温上がる。松岡君最高。
およそどう倒すのか想像もつかない強能力『狩人の森<エリアインビジブル>』を、『模倣剣技<ブレイドスティール>』を進化させた『完全掌握<パーフェクトビジョン>』で破る流れも理に適っている。相手の技を盗めるのなら行動をシミュレートできてもおかしくない。テニスの王子様でいうところの『無我の境地』→『才気煥発の極み』と同様のロジックである。能力バトルかくあるべし。
なおこれは完全に余談だが、この回を観終わった瞬間円盤を予約した。


■想いのかけら

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「ほんの少しずつ、気付かないくらいにしか違わない毎日を重ねながら、私は変わっていく」

NHK×福島ガイナックスで送る短編アニメーション作品。東北の港町、被災地の仮説住宅で暮らす中学生の女の子・陽菜のささやかな変化のお話。
フィギュアスケートの練習に励み、怪我をしてしまう陽菜。思い出の中の母親の姿が、遺された大切なものがそっと彼女の背中を押す。陽菜を取り巻く父やご近所さん、友人にコーチといった人々の姿も温かく、胸をうつ。
心温まるドラマがたった2分に凝縮された結晶のような作品。現在もWebサイトで公開中なので興味があればぜひ観てほしい。

絵コンテ・演出は『放課後のプレアデス』でおなじみ佐伯昭志
ただ2周しないとストーリーの把握が若干難しいかもしれない。

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少し泣く。


■俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件 第10話「前から気になっていたんだけど、ゲッツってなんなの?」

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「黄色い、男物のスーツ……?」

見た目とは裏腹に存外細やかな感情の描写と少しずつ進んでいく登場人物の関係性が『ゲッツ』の大きな魅力だが、この回のAパートだけは完全にパラメータをダンディ坂野に全振りしている。
本作においてゲッツは突然放り込まれる爆弾のようなギャグだった。回数はそう多くない、必殺技みたいなものだった。発射された瞬間にテレビ画面と視聴者の間に奇妙なねじれを生じさせ、こちらの思考を感受性もろとも吹き飛ばすーーそんな危険きわまりない代物だった、のだが。

f:id:n_method:20151224003209j:plain「ゲッツしてる……!」
開幕5分でとうとうご本人登場である。ゲッツ監修としてスタッフロールに名を連ねてはいたがまさかこの2015年にダンディ坂野がアニメに出るとは誰が想像できただろうか。この瞬間私は完全に覚悟を決めた。ワルブレリアタイ以来の強い覚悟。
そうこうしているうちにヒロイン愛佳へのゲッツの講義が始まる。

岸本斉史も真っ青の三点視点ゲッツ。
実際練習したので多少分かるが、愛佳のゲッツはレベルが高い。作中で言及されていた「腰を落とす」「足を開く」という基礎はもちろん、力を入れすぎず、ダンディ坂野が形作った型枠にそっと置いてくる。レイアップシュートのイメージ。

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今ここに、確かにダンディがここにいた。
その後は人気者の化身となったダンディ愛佳がお嬢様学校の面々をダンディミームで侵食していくさまが描かれる。

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「ゲッツ」
「ひっ」
もはや攻撃である。

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「ゲッツ」
CV:ダンディ坂野(本人)である。

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その果ての終局だ! もはや止める術などない!!
「ではいきますわよ! せーの、」「「「「「ゲッツ↓」」」」」

嵐の中を吹き飛ばされるビニール袋みたいな精神状態でやっとCMまで漕ぎ付けて。おれを待ち受けていたのは『本物』の一撃だった。

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真・ご本人出演。
満身創痍でふらついていたおれの矮小な感受性はここで完全にワールドブレイクされてしまい、ゲッツのげの字も出てこないBパート中もずっとダンディ坂野とイチズレシピが頭蓋の奥でこだましていた。歪みねぇな。

なおこれは完全に余談だが、本作の私的ベストゲッツはこの次の回、第11話のモブのゲッツである。アニメ『ゲッツ』が積み上げてきたもの、籠められた何重ものニュアンスをぜひその目で確かめてほしい。ゲッツ。ゲッツ。

【12/24追記】
本作のベストゲッツ、最終話で更新されました。ありがとうゲッツ。




以下、他に候補に挙げていた話数。
ユリ熊嵐 第4話「私はスキがもらえない」
■幸腹グラフィティ 第8話「ほくほく、はぷっ。」
■ローリング☆ガールズ 第8話「雨上がり」
■グリザイアの楽園 第8話「ブランエールの種Ⅳ」
■空戦魔導士候補生の教官 第11話「決勝戦、そして…」
わかば*ガール 第13話「普通の女の子」
■Charlotte 第13話「これからの記録」
■ハッカドール THE あにめ~しょん 第2話「アイドルやらせてください!」
■影鰐 第3話「帰還」
蒼穹のファフナーEXODUS 第17話「永訣の火」
■コンクリート・レボルティオ 第10話「運命の幻影」
記事にあるタイトルではワルブレ4・10話、えとたま9・12話、プレアデス12話、ユーフォ8・12話、レーカン!8話、キャバルリィ10話あたりは迷った。迷いすぎですね……。


以上。コメントの分量差はその……ごめんなさい……
なんというか、やたらポップなチョイスに仕上がった気がする。あと笑いか泣きに偏重している。どうも私は感情の振り幅が大きいものを面白いと感じるらしい。
この1年を振り返ることのできる大変有意義で楽しい企画だった。他の方の10選も興味深く(「この人……できる!」と思う記事ばっかりだった)、実際観たくなった作品も多い。きっと今年放映されたアニメ全部観たらまた変わってくるのだろうな、とは思いつつ、今回はこの10本で決まりとさせて頂きたい。

ここまでお読みいただきありがとうございました。