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『天体のメソッド プレミアムイベント』に行ってきた(夜の部)

アニメ イベント

 

16時30分。TLにクソツイを放り込んだ私は新宿駅東口前のドンキホーテへとひた走った。
昼の部のステージでイベントなるもののすさまじさを理解した私は、すぐさま現地で夜の部のチケットを調達したのだ。次に手に入れるべきものも理解していた。人生には金と体力を惜しんではならない瞬間がある。
サイリウムはレジ前にあった。15色切り替え可能のカッチョいいやつ。半ば本能で手に取りレジへ。「3207円になりま~す」た、高い。一瞬躊躇うが遅い。購入。
後に調べたがこれ、キンブレというライブ民御用達の一品らしい。電池交換式だし発色・使い勝手もいいのでおススメです、キンブレ。他の知らないけど。
汗をかいたのでコンビニでガリガリ君も買う。

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会場へ帰還して指定された座席に着く。
2階4列目真ん中の段通路沿い。2階席としては悪くないポジション。そういえば2階最前列って関係者とかいるのかな。久弥とか。
サイリウムを確認しているうちに開演5分前となり、乃々香とノエルによるアナウンスがスピーカーから流れてくる。昼の部と同じ演出だ。
「ノエル、これから大事なお話をするから、邪魔しないでね?」
「うん!」
「会場内での録音、撮影は禁止です」
「ぱしゃ……ぱしゃ……」
「もう、ノエル。大事なお話だからもうちょっと我慢してね?……上映中は携帯電話をマナーモードにしていただくよう、お願いします」
「もしもし、ノエルだよー。ぴぴぴぴぴぴ、ぷーぷーぷー」
「開演はじゅヴッ……」
「……」
「……」
「……」
「18時となっていますので、しばらくお待ちください」
夏川椎菜、噛んだ。録音じゃなかったのか。
とんだハプニングに開演前から沸きあがる観客。ナンスコールが途絶えた頃、夜の部の幕が上がった。
「いったい何をしに戻ってきたの?」
昼夜通しで参加した客に冷たく言い放つ小松未可子さん。キレッキレである。

夜の部の構成も昼の部と基本的には変わらない。
①キャストによる自分以外が演じたキャラの好きな台詞
②ネットで実施した名シーン投票の結果発表
③BD7巻映像特典・オリジナルショートアニメの一部紹介
④『そらメソラジオ』でやっていたコーナー(そうさ! ソーサー捜査)の拡張版
⑤fhánaとLarval Stage Planningのライブ
⑥〆のキャストコメント

といった流れ。


①キャストによる自分以外が演じたキャラの好きな台詞
昼の部と異なり、今度は自キャラ以外の台詞を選ぶ形式となっている。昼同様、選ばれた台詞はその場でキャストが演じてくれる、なんとも嬉しいコーナーである。
まずは夏川さんから。選んだのは柚季の台詞。笑いながら豊崎さんがステージ前に立つ。そして台詞がスクリーンに映された。

「私も乃々香がいつも笑ってるの、よく覚えてるな。お母さんもさ、見たいんじゃない? 今の乃々香の」(7話)

これこれって感じだ。乃々香に背中を押されてきた柚季が、今度は乃々香を支えるために言葉をかける。倒置法の効きが最高。
私はこの『天体のメソッド』という物語の最大の悲劇は、乃々香と約束を交わした生前の古宮花織にほんの少し言葉が足りなかった点だと思っているのだけれど(後述)、乃々香の中で花織の言葉が息づいていたからこそ、乃々香は笑顔で柚季たちの背中を押していけたのも事実。乃々香の今を肯定する柚季の言葉は、結果的にその先にいる花織さえも肯定する。
7話はひとつひとつの言葉に様々な意味が織り込まれた、非常に天メソらしい話数だと思う。

続いて豊崎さんが選んだのは、兄・湊太のこの台詞。
意気揚々、というかノリノリで前に立った石川界人は、映し出された台詞を見て思わず「うわ」と苦笑した。「難しいんだよなこれ……」

「ノエルなんて知らない。知らないはずなのに……無視できないんだよ」(13話)

文句なしの名演だった。やっぱりすごいよ石川プロ。
12話以降の湊太は6人の中でも飛びぬけて変化の大きいキャラだ。半ば別キャラと言ってもいい。円盤世界とは異なり、事故のなかった12話以降の世界では、彼は大人になる必要がなかった。だから年頃の男子らしく自分の感情をさらけ出す。
石川プロは12話収録当時「また違った湊太が出てきたぞ!」と頭を抱えたという。キャラの出で立ちや過去を探り出す工程を何度も重ねて、散々悩んだ挙句、素直に思うままの湊太を演じたところでOKが出たらしい。
湊太の名台詞といえば昼の部でも出た6話のあれと、13話のこれだよね。

そんな役者魂を感じさせる石川界人が選んだのはこはるのこの台詞。

「いらっしゃいませ~」

「っしゃあ!」(ガッツポーズをとる石川プロ)
ダメだこの湊太……はやくなんとかしないと……と思ったところでこはるのキャラクターについてのマジメなお話が始まる。こはるの台詞は安定感があり、同時に深い味わいもある。それは彼女の同じ一言が、その瞬間のこはるを映し出す鏡となっているからだ。笑ったやつはわかってないぜ。by石川プロ。

そんな母性溢れるこはるを演じた佳村さんが選んだのは、汐音のあの名台詞。
「長い長い長い長い!!」小松さんが叫ぶ。
ずらずらずら~っとスクリーンを埋め尽くす文字列にキャスト観客一同、爆笑。小松さんももう笑うしかない。よ、佳村さん、厳しい……

「私のよく知っている乃々香っていう女の子は、一度こうしたいって決めたら絶対に最後まで譲らないような、まっすぐで、素直で、そんな言葉にいつの間にかみんなの心が動かされていく。私の知っている友達は、そういう女の子だったはずだけど。違った?」 (13話)

膝立ちでステージ前のミニモニターを注視しながらの熱演。長台詞お疲れ様でした。
小松さん自身、このシーンの汐音には若干の救世主感を覚えていたという。思い…出して。

そして小松さんが選んだのはノエルのフィニッシュアーツ。

「ただいま!」(13話)

「お帰りぃーッ!! お帰りノエルゥウーーッッ!!」
バグったイントネーションで叫びながら石川プロと小松さんが椅子から転げ落ちた! あれは……ドゲザ! 2人並んで水瀬さんにドゲザしている!
いやでも崇めたくなるのはすっげーーわかる。水瀬さんドン引きだけど。

気を取り直した水瀬さんが選んだのは乃々香の一言。 

「ノエル~!」

ののか~!
……あれ、この人、昼の部で「ののか~!」を選んでなかったか?
チョイスがイノセントすぎるぞ、いのすけ。
たしかに「乃々香ー」「ノエルー」のやりとりは多い。夏川さんはひどいとき、収録中にノエルがだんだんゲシュタルト崩壊していったらしい。やたらノエルと呼ぶ回数の多い話があったとか。何話だろう……


②ネットで実施した名シーン投票の結果発表
昼の部では「切ない名場面」が計4シーン+1シーン発表された。以下に記す。

2-1,花織との約束(13話)
とても悲しいシーンで、個人的にどうしても物申したいところでもあるのでシーン丸ごと書き起こす。

夕暮れが染める湖のほとり、約束のベンチの前で乃々香と汐音は立ち止まる。汐音は先に腰をかけて、あの鼻歌を歌い始める。
乃々香もゆっくりと横にかける。二人は目を閉じて鼻歌を歌う。
―――
回想。7年前、乃々香の家。
揺り椅子にかけた花織が鼻歌を歌っている。花織の膝に腕を乗せて、膝立ちで向き合う乃々香に、花織は優しく話しかける。
「乃々香。母さんと約束して?」
「?」
「これから先、乃々香は色んな体験をして成長していくの。その中には、悲しいことがあったり、辛いことがあったりするわ。でもね、そんなときこそ、そんなときだからこそ、ありったけの笑顔でニッコリ笑うの。そうすれば、どんなことでも乗り越えられるから」
「どんなことでも?」
「ええ。乃々香ならきっと」
「うん。約束」
乃々香と花織は額をくっつけて微笑みあう。

花織の言葉は要約すれば「悲しいとき、辛いときだからこそ笑え」である。
これにはひとつ、大切なプロセスが抜け落ちている。「泣いてもいい」だ。

乃々香は母を喪失した痛みに耐え切れず、過去そのものを忘れてしまうわけだが。
……これは推測だが、おそらく乃々香は花織が亡くなった後、泣きながら「約束を守らなければ=笑わなければならない、泣いてはならない」と思っていたのではないだろうか?
母親をなくした幼い子どもが、泣きたいのに笑わなければならない。母との約束を守るために。そんな辛い板挟みにあったから、楽しかった日々も悲しかった思い出も、丸ごと全部記憶の底に沈めてしまうまでに追い詰められてしまったのではないか、と。
私はそう考えている。


2-2, 柚季の謝罪(5話)

「違うの。謝らないといけないのは、悪いのはーー!」

桟橋を照らす灯篭に柚季の心が解けていく、天体のメソッド屈指の名シーン。
このシーンが選ばれたとき、私は正直ほっとした。
水坂柚季の物語は『天体のメソッド』ファンに対する一種の指標ともいえる。柚季の文脈ははっきり言ってわかりにくい。話が決着する第5話自体も非常にテクニカルな構成だ。心情を理解できるか否か、その時点で適当な見方をしている視聴者は一気にふるいにかけられる。その上でさらに共感できるか否かが試される。ここでさらに半分か。
そこまでステップを踏まなければ柚季を好きになるのは難しいし、下手したらその後の物語にも通底する「想いの共有」というテーマに気が付けないかもしれない。裏を返せば、柚季と5話が好きなファンは本当に天メソが好きなんだな、と信頼できる。
そんなファンが数多くいたことをこの結果は証明した。ただひたすらに嬉しい。
まあ私は別のシーンに投票したのだが。いや、迷ったんですよ……本当にごめんなさい……

キャスト陣は見ているだけで泣きそうになると少し困った様子。特に夏川さん、けっこう危なそう。


2-3, 汐音との再会(12話)

「私が覚えてるのは、流星群の夜に見た、あの子の涙」

 星屑のインターリュードの入りが冴え渡る至高のワンシーンだ。吹き抜ける風が天文台の草葉を揺らし、夏川さんのもとにスタッフからティッシュが運ばれる。
夏川さん、軽く泣いてしまった。「まだレベル2」とか言っているが、大丈夫ですか。


2-4, 天文台でのノエル「みんな大好き!」(11話)

「ノエルのこと。絶対に忘れないから」
「ノエルも忘れない。乃々香がたくさんたくさん素敵なものをくれたこと」

映像は乃々香とノエルが、望遠鏡を挟んで向かい合ったところから始まる。
望遠鏡の左側には乃々香と、町を出て行く湊太と汐音。右側にはノエルと、町に残る柚季とこはるが立っている。ノエルは乃々香に語りかけながら、ゆっくり左へと歩いていく。

「ごめんなさい。あたしは、ニッコリしないと、ダメなのに。絶対、絶対ダメなのに。ごめんね、ノエル」

「絶対、絶対ダメなのに」。
崩れ落ちた乃々香の言葉は強迫観念めいていて、どうしようもなく悲しくなる。乃々香はいったい何を、本当は誰に謝っているのか。どうして別れのときに泣いてはならないのか。単に「みんなニッコリ」「ニッコリでお別れ」というノエルの願いを叶えるためなのか。

……先の話に戻ると、花織が教えるべきだったのは「辛いときだからこそニッコリ笑おう」ではなくて「辛いときにはいっぱい泣いてもいいけれど、その後で少しずつその悲しみを乗り越えて、最後にはニッコリ笑おう」という「流れ」だったのではないだろうか…….。*1

「謝らないで、乃々香」
「乃々香。お母さんの言葉、覚えてる?」

泣きじゃくる乃々香を優しく許すノエルと、言葉で支える汐音。泣くのを止めて立ち上がった乃々香を見て、ノエルはニッコリと笑い、目の前の5人に言う。

「乃々香、汐音、柚季、湊太、こはる。みんな大好き!」

ちなみに夏川さんはレベル3に達してティッシュで大変なことになっていた。


2-α, ノエルとの別れ

「あれ……。嬉しいのに……すごく嬉しいはずなのに。みんなが、ニッコリで、ノエルは、みんなのことを……どうして止まらないの? あふれてくるの?」

これしかないよなあ……。
自分の中に芽生えていた自分自身の願いにノエルが気付いてしまうシーン。ぽつんと5人を後ろから見つめる、その立ち位置がすべてを描き出している。同じように桟橋で離れて見ていた5話との対比も完璧すぎるし、問答無用で感情を破壊しにきていた。放送後、思わず外に飛び出してふたご座流星群を見上げて号泣したファンも多いはずだ。*2
このシーンは投票サイトにピックアップされていた選択肢にはなかったのだが、選択肢以外のシーンを自由記入で投票可能だったところから数多くの票を集めたらしい。私も入れた。これしかなかった。

石川プロ「夏川さん泣きすぎでしょ」
夏川さん「界人くんだってズビズビしてたじゃん!」
石川プロ「やめてくださいよぉ年上だから我慢してたのにぃ///」


③BD7巻映像特典・オリジナルショートアニメの一部紹介
昼の部の記事で書いたため省略。汐音の身辺調査ですかねえ……?


④『そらメソラジオ』でやっていたコーナー(そうさ! ソーサー捜査)の拡張版
お題は天文台。ジンギス丸(なんというか、コケの生えた異臭生命体としか)はさておいて、3対3のチーム戦で、組み合わせは夏川さん・豊崎さん・佳村さんと、小松さん・水瀬さん・石川プロ。

まずは佳村さんVS小松さん。ゲームは剣玉、制限時間は10秒。佳村さんは健闘するも、小松さんがどうにか勝利を収める。

続いて豊崎さんVS石川プロ。
「湊太には、絶対負けないんだから」
「柚季に負けるわけないだろ」
水坂兄妹、アツい。
ゲームは傘のバランス対決。劇中でノエルが傘代わりにしていたあの蓮の葉を手のひらに乗せて、5秒落とさなければOK。
先攻は豊崎さん。難なく5秒をクリアする。傍目から見てもバランス良い。ふらつきもしなかった。
後攻、開始前に傘を手のひらに乗せる石川プロ。
「えっもう始めるの」
「えっ」
石川プロが戸惑った瞬間スタートのゴングが鳴った。驚いた拍子にバランスを崩し、倒れる葉っぱを追ってプロは舞台袖に疾走していく。2秒ももたない。これはひどい

ラストは夏川さんVS水瀬さん。
ゲームはジェスチャー当てクイズ。味方チームの2人が演じているものを見事言い当てられたらOK。
まずは夏川さんから回答することに。お題は「フリスビーをキャッチする犬」。
ゲーム開始。なぜか自然に豊崎さんが犬、佳村さんが人間役になった。豊崎さん、迫真の犬っぷり。だらしなく口をあけて四つんばいで床を駆けずり回る豊崎愛生さんを見られるのはきっと『天体のメソッドプレミアムイベント』くらいだろう。世界は生きるに値する。
夏川さんは犬、フリスビーとかなりいいところまで当てていたのに時間切れ。判定厳しくないっすか。
そして後攻、水瀬さんが回答者となる。お題は「カラオケをする宇宙人」。うん、ワケがわからないぞ。
ゲーム開始。エアマイク片手に、もはや筆舌に尽くし難いぐねぐねとした踊り(本当に文章で表現できない)を繰り出す石川プロと小松さん。とくに石川プロのほう、いよいよぶっちぎれてきている。
あやしいおどりにMPを削られて水瀬さんは困惑するばかり。なんか今日そんな役回りばかりですねって感じだ。
時間切れ。

ゲームが終了し、同点のため観客の拍手で決めることに。
結果、石川プロチームの勝利。つよい。
景品は天文台をモチーフにしたスイーツ。なかなかに高そうなキューブ型のシュークリームだ。後でみんなで頂くことが決まる。

石川プロ「鼻の頭びっちょびちょ」


⑤fhánaとLarval Stage Planningのライブ
構成は昼の部と同じ。fhánaからは『星屑のインターリュード』『ソライロピクチャー』『ホシノカケラ』『天体のメソッド~Quote from Stardust Interlude~』、LSPからは『North Method』『Stargazer』。曲順もまったく同じだ。
昼の部よりもずいぶんステージから離れてしまったけれど、2階席は1階席と違って段差が高いので、後ろの視界を遮ってしまう心配もない。サイリウムを鞄から取り出し、青いライトを点らせた。
fhánaへのインタビューが終わり、曲が始まる。高所から俯瞰してみると、観客のサイリウムの動きから舞台効果まで全体をよく見渡せる。
昼のライブでは『天体のメソッド』の物語そのものを再体験していた私だが、今回はそれと並行して、よりマクロな意味で、作品を観ていたときの感情が再生されていった。

当たり前だが、今この新宿文化ホールにいるファンの多くは、同じものを見てきている。
『天体のメソッド』は少なからず風当たりの強い作品だった。今でも世間的には高評価されているとは言い難い。どちらかといえば罵詈雑言のほうが目に付く。
放送中は心無い野次に憎悪を燃やしたことも幾度となくあった。単語ひとつにムカっ腹が立ってどうしようもなくなる夜もあった。
自分以外他に誰も好きでなくたって、自分が好きならそれでいい。
そんな思いを胸に、何度も何周も視聴した。全13話を文字に起こした。足りない頭で登場人物の文脈を可能な限り読み取った。考察もどきの文章もこっ恥ずかしい妄想も書いた。
けど、この作品を愛している人はたしかにいた。数え切れないくらいいた。
夏川さんにスタンド花を贈ったファンの方々がいた。最前列で向日葵の花束を抱えている人がいた。出演者へのプレゼントボックスに、手紙から差し入れまで、思い思いの品を入れる人がいた。
自分以外他に誰も好きでなくたって、自分が好きならそれでいい。
それは決して間違いではないと思うけれど、自分が最高に好きな作品に同じ想いを抱いている人がいるのは、本当に嬉しいことなんだと、今さらそんなことを思った。
それはたぶん、誰かと一緒にきれいな景色を見たり、美味しいご飯を食べたりしたときの感覚と同じものだ。

「誰かと一緒だったら、何だっていうの?」
「ぽかぽかするー」

『Quote from Stardust Interlude』を聴きながら、11話放映直後のことを思い出していた。リアルタイムで流星群が降り注いだあの冬の夜。はっきり観測できたのは、たしか5つか6つ。このクソ寒い星空の下におんなじようなやつはどれくらいいるんだろうなあ、とか思ってもいたような気がする。

『天体のメソッド』という作品に感動しているのか、場の雰囲気に酔っているのか、よくわからなくなってきていた。
たぶん両方なんだろう。全部まとめて『天体のメソッド プレミアムイベント』という作品に感極まってしまっている。

fhánaからLSPにバトンタッチ。
ここにいる人の殆どは同じ風景を共有していて、同じものに気持ちをもらっている。
美しいものを見て、幸せになっている。
これが善でなくてなんだというのか。

世界よ、善くあれ!
尊くあれ!
もっともっと、きれいであれ!
取り落とさないよう気をつけながら、痺れる腕でサイリウムを振った。遠のいた距離がもどかしくて、余計に力が入っていた。青い光が歌手に観客に飛んでいって、何かを与えてくれればと願った。何せ私は単純だから、昼の部でtowanaさん(fhána)と桐島さん(LSP)がサイリウムをきれいだと言っていたのを真に受けているのだ。んなもん見慣れているに決まっているのに。
見知らぬ誰かの幸福を祈った。祈れた。
汗が目尻につたい、涙と判別がつかなくなる。世界が青くぼやけていく。そこに人がいることがただ本当に嬉しかった。


⑥〆のキャストコメント
キャストの全員、fhánaのメンバー、桐島さんが次々にコメントしていく。
もう完全にくらくらしていた私にとどめを与えたのは豊崎愛生さんのコメントだった。細かい言葉尻は間違っていると思うがここに記しておく。

「皆さん明日は仕事や学校かもしれません」
思わず会場の誰もが笑ってしまう。現実に引き戻すかのような一言。
「やってられないと思うときもあるかもしれません」
一瞬、私はおや、と思う。
「けど、泣いてもいい。怒ったり泣いたりして、気持ちをぶつけてもいい。その先に、本当の気持ちがあるから」
このあたり、ちょっとショックで細かく聞き取れなかった。
「そして、そんなときは思い出してください。みんなのニッコリを手助けしてくれる、この作品のことを」

頭をハンマーで打ち抜かれたような衝撃が走っていた。
古宮花織。古宮花織だ。豊崎さんのコメントはあの約束の本当の意味を完璧に汲み取っていた。おそらく何の意図もなく。
その言葉は、素直になれなかった柚季を、大人になるしかなかった湊太を、涙を隠そうとしたこはるを、傷つくことにおびえていた汐音を、想いを押し殺した乃々香を、願いに気付けなかったノエルを。そして、約束の意味を伝えきれなかった花織を。
『天体のメソッド』を包括する。

これが声優か。
登場人物の内側でずっと作品を見つめ続けた人の口から、自然に出てくる言葉なのか。
たぶん大した意味はない豊崎さんのそのたった一言に、私はもうめちゃくちゃに感動してしまって、また両目に熱いものが滲んで、閉じていく幕に向かって狂ったように拍手していた。「ありがとおー! ありがとぉおー!!」と壊れたみたいに叫んでいた。
fhánaの和賀裕希さんとまったく同じ感想だった。「すべてのスタッフと久弥直樹さんに感謝を」していた。
こんなかけがえのない、キラキラした、こう「絆」とか「友情」とか安易に表現した瞬間、大切な何かが単語の外にこぼれ落ちてその輝きを損ねてしまいそうな、そんな美しいものを美しいまま示してくれた、表してくれたこの作品のすべてに。
その存在を信じさせてくれた、ノエルという形に。

小松さんは言った。「私たちの空にノエルはいる」と。
いるわけない。でもいるんだ。いるったらいる。たとえ私に見えなくたって、赤の他人にしか訪れない存在なのだとしても、この空の下にノエルはきっといる。
それを祈って生きられる。
きれいな風景は、幸せそうな人の姿は、それを描いた創作物は、私に世界を祈らせてくれる。

ホールを出た私は満身創痍だったが、心はこの上なく満ち足りていた。


以下、会場の展示物。

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霧弥湖グッズ。洞爺湖の露、一度飲んでみたい。

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全13話台本。10話表紙のヤバさがおわかりいただけるだろうか。

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円盤クッション(コレジャナイ)。同じクッションならキャラクターの柄よりもこっちをグッズ化してほしかった。超欲しい。

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雄大な自然を臨む北海道、夏の霧弥湖へようこそ! 行きたいなあ……

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円盤歓迎! BD7巻での活躍、楽しみにしてるぞ、キリゴン。

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アニメ絵立て看板夏服ver。こはる、きゃる~んって感じだ(意味不明)。

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アニメ絵立て看板冬服ver。てへぺろノエル。

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QP:flapper絵立て看板。
どれも天体のメソッド展やインフィニットショップにも飾られていたものだ。
ちなみにこれらの立て看板、天体のメソッドフェアのハズレ抽選券100枚で入手可能だったもの。10万円になります。




続いてはおみやげ。
まずはクリアファイルから。来場者特典①A4クリアファイル&インフィニットショップ1000円以上お買い上げ特典。

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インフィニットのほうの絵柄は柚季だ。ヨッシャ。
来場者特典クリアファイルはプレミアムイベントのキービジュアル。会場限定販売だった(予約したぞ!)B2タペストリーの絵柄にもなっているこのイラスト、背景は新宿御苑とのこと。また聖地がひとつ増えてしまった。

続いて来場者特典②生原動画&インフィニットショップ3000円以上お買い上げ特典。

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原動画はこはると汐音。ラバーストラップはこはるだった。
……誰が出てもヨッシャってなってるな、私。みんな大好き。誰が一番とか決められない。

ちなみに描かれている場面は以下の通り。

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1枚目は3話アバン。乃々香の頬を打つ柚季を見て息を呑むこはる。
切り取られた形跡が不思議だったんだけど、汐音がいたのか……

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2枚目は8話クライマックス。
道理でいい表情をしていらっしゃるわけで。



おわり。
夢のようなイベントだった。収録されたBlu-rayないしDVDが販売されることを切に願う。

 

*1:もっとも、自身の死期を悟って、必死の思いで幼い娘と難しい約束を取りつけた節のある花織を積極的に責める気には到底なれないのだが……ただ純粋にやるせない悲劇だ。

*2:2014年12月14日、TOKYOMXでの放映は選挙特番のため前倒しになり、20時30分からとなった。そしてその当日に訪れたふたご座流星群のピークタイムは放送終了直後の21時だった。奇跡としか言いようがなかった。